微笑む女性

ピルといえば、多くの人は避妊薬のことを想像すると思いますが、ピルそのものは錠剤という意味があるものです。しかし、海外でも単にピルといえば避妊薬を指すものとなっています。日本では経口避妊薬と呼ばれるもので、飲んで避妊する薬という意味になりますが、実際のところは女性ホルモン剤です。女性は妊娠初期の段階で、新しい妊娠が起こらないように身体を変化させており、これらをコントロールしているのが女性ホルモンです。つまり、ピルを飲むことで女性ホルモンをとり、身体を妊娠初期の状態にすることで妊娠できないようにしているのです。

ピルのメリットは、この身体の仕組みをもとに妊娠を阻止しているので、高い避妊率があることです。正しく利用すれば100%の避妊が可能です。特に一度妊娠がスタートしてしまうとそれを中断させることは母体にも悪影響を与えるリスクがありますが、ピルの場合にはそのリスクがありません。もちろん、万能というわけではなく副作用のリスクはありますが、それでも正しく服用し、また定期検査を受けることでそのリスクは小さくなります。日本では利用者はそれほど多くありませんが、欧米では広く利用されています。

また女性ホルモン剤ですから、ホルモンバランスを安定させることができ、避妊以外として月経困難症や月経前症候群、生理痛などの改善をすることができます。またホルモンバランスが乱れることによって起こる肌荒れ症状を改善することができます。このためピルは女性特有の病気の治療薬としても用いられているのです。

ピルを避妊薬として利用する場合には、その種類を理解しておく必要があります。ピルには、低用量ピルとアフターピルの2種類があり、ともに妊娠しないようにするものですが、服用する目的が異なります。低用量ピルは、事前に服用しておき計画的に避妊をするものです。一方、アフターピルは性行為後にコンドームなどでの避妊に失敗した場合や、妊娠できない状況で性行為を行ってしまった場合に妊娠を阻止するため服用するものです。このためアフターピルは、緊急避妊薬とも呼ばれます。

効果の出方もそれぞれ異なります。低用量ピルの場合は、多くは28日周期で利用するもので、生理から21日間連続で同じ時間帯に服用します。最後の7日間は休憩期間で服用しませんが、定期的に飲む習慣を付けるために成分の入っていない偽薬を加えたものがあり、このため低用量ピルには21錠タイプと28錠タイプの2種類が販売されています。一方で低用量ピルがすぐに避妊効果が表れるのかといえばそうではなく、初めて利用した場合は7日目以降から効果が表れます。この理由は、低用量ピルは副作用を最小限にするために、含まれている女性ホルモンの量を極力少なくしているためで、このため避妊効果が得られるまでに時間がかかります。ただし連続利用する場合には、2回目以降は1日目から避妊効果を得ることができます。ただし低用量ピルはホルモン量を最小限にしているので、飲み忘れによって効果が失われることがありますから用法用量を厳密に守ることが求められます。

アフターピルに関しては、緊急避妊薬とあるように性行為後に服用するものです。この時に服用するタイミングは、早ければ早いほど高い効果があります。タイムリミットは72時間以内で、80%程度の妊娠阻止率があり、24時間以内であれば90%以上とされるものです。また72時間以内がタイムリミットですが、実際には120時間以内でも効果が期待でき、60%程度の妊娠阻止率があります。アフターピルの場合には低用量ピルとは異なりすぐに避妊できるのがメリットですが、低用量ピルと比べて費用がかかることや副作用が強く出るのがデメリットといえます。